独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
第23話 ズルいよ。
「ここの部屋は美咲が使っていいから」
「え、本当にいいの?」
「うん」
リビングの横に続く優斗の寝室。
彼はそこを使っていいと言った。
流石に一週間も寝室を占領するのは……と申し訳ない気分になる。
「悪いよ、一週間だよ?優斗が嫌じゃなければ私はリビングのソファーで」
「嫌だから寝室使って?」
「えぇ……」
強引に話をまとめようとする家主に何も言えず、丸め込まれる。
「美咲は俺の『彼女』なんだから、いいんだよ」
甘い言葉。
むず痒くて落ち着かない。
『彼女』
一週間だけの限定彼女。
建前だけの言葉のはずなのに、その2文字は胸の中に入りきらない。
棘に引っかかっているような些細な違和感は美咲に影を落としていた。
(本当に、いいのかな……)
今更すぎる悩み。
考えても仕方がないのに、浮かんでくる翼の顔。
「歯ブラシとかスキンケア類も洗面所に置いていいよ」
「別にこのままでも」
「めんどくさいでしょ?置いたほうが楽だよ」
「……うん」
優斗は優しい。
優しすぎて感覚が鈍ってしまいそうなくらい。
自分を思って色々と考えてくれる優斗に申し訳なくて考えることをやめる。
一週間だけだ。
このマークが消えれば、またいつも通りに戻る。
翼とだけ、距離が変わった日常に。
「……。」
喉が締まる。
胸の奥が澱む。
修正のできない過去に思いを馳せた。