独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 自分から繋いだ手を握って歩き続ける。
 ある程度大学から離れたのを確認して指の力を抜くが、それを拒否するように優斗はもっと強く手を握った。

「車、こっち」

 優斗は私を追い抜かし、半歩前を進む。
 握っただけだった手のひらはいつの間にか絡み合い密着する。
 胸の鼓動に揺さぶられた。

 ……いいのかな。


 こんな関係、優斗を都合よく使ってるだけみたいだ。

 
「ねぇ優斗……こんな関係、本当にいいのかな」
「……なんで?」
「だって1週間だけの恋人だなんて、そんな不純な関係」
「……。」
「……優斗の言葉に甘えてしまってる自分が嫌になりそうで」

 優斗は車の助手席を開ける。
 誘導するように優しく美咲の背中に触れ、車内へ座らせた。
 
 あれから、ずっとモヤモヤしている。
 これで本当にいいのか悩んでいた。
 
 助手席に座った後もドアは開いたまま。
 いつまでも閉まらない様子に上を見上げた。

「ゆう——」
 
 さっきまで視界の上にいたはずの優斗は目の前にいた。

 
 目が合い、顔が近づく。
 驚いて顎を下に下げると額がコツンと当たって互いの熱を伝え合う。

 
「俺が4年間望んだ関係を不純なんて言わないで。1週間だろうが俺にとって今は夢みたいなんだ」

 
 優斗は心から強く望むように一つ一つの言葉をゆっくり紡いだ。
 額が離れ、瞳を見つめ合う。

「……今キスしたら、怒る?」

 願うように優斗は呟く。
 
 (ダメ。)

 そう思うのに心臓の高鳴りは止まない。
 美咲の気持ちを見透かすように優斗は言った。

 
「……嫌なら俺を突き飛ばして」

 そんなこと、できないとわかっているはずなのに。


 彼のずるい言葉に惑わされ、

 人生2度目のキスを優斗と、した。
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