独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

第24話 もう一回


 まだ柔らかい感触が残っている。

 優しく触れた優斗の唇。


 窓の外を見ながら唇に指を当てて口元を隠す。
 優斗はどんな表情をしているのか、恥ずかしくて見られなかった。

 車内に響く走行音。
 いつも優斗のスマホとリンクして流れるサブスクリプションの音楽たちも今日に限って流れない。
 ただ静かな車内で窓の外を見つめ続けた。

「……あのさ」

 優斗は低く深刻なトーンで話し始める。
 あまりに深刻そうな様子に何かあったのかと顔を向けると、真剣な顔で少し耳を赤くしながら口元を隠していた。

「もう一回したいって言ったら怒る?」

「……え?」
 聞いた単語を一生懸命頭の中で処理して言葉を返す。

「なっ言っ……ここ!外だからね?!」
「……家ならいいの?」
「そ……っ〜〜〜〜〜〜っ!」

 ダメだと言いたいのに、変に高鳴る鼓動が私の言葉を止める。
 流されたらダメだ。
 さっきから優斗に上手く丸め込まれているような気がする。

 言おう言おうとしているうちに優斗の家に着いてしまった。
 何も言われない様子にさっきの話はうやむやにできたのかとホッとする。
 車を降りて優斗の家へと2人で歩く。
 先に進んでいた優斗が鍵を開けて、美咲は促され先に家へと入った。
 
 リビングに入り荷物を置く。


 その瞬間、自分の視界がくるりと半周した。
 バランスを崩しソファーの肘置きに腰が落ちる。

「さっきの返事、まだ聞いてないよ」
「?!」

「……もう一回、キス してもいい?」

 優斗は腰を曲げてソファーの背に手をついた。
 強引ではなくじわじわと、美咲の逃げ場を無くすようにゆっくりと話す。

「……嫌ならどうするか、さっき俺言ったからね」



 優斗の言葉は美咲の思考を溶かしていく。
 逃げ場を奪い、本人も気付かぬうちに誘導されてしまう。
 重ねられた唇が離れ、名残惜しそうに美咲の首筋にキスを重ねていく。

 
 彼女の白い首筋に残る翼の印を上書きするように、優斗は自分の印を美咲に残した。
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