独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

第25話 矢吹都


 美咲が慌てて優斗を連れ出した後、都は友人のラブイベントを目撃してニヤニヤが止まらなかった。
 ただ一つ疑問だったのは翼のこと。

 都と翼は友達ではないにせよ、面識があった。
 それは【Suit(スート)】の出演するライブに誘われ行った時。

 ——『美咲ー!』
 
 ライブ終了後、都は美咲からメッセージで[外で待ってて]と言われ、ライブハウスを出てすぐのところでそのまま待っていた。
 数分待っていると地下から階段を登って美咲が現れる。
 
『都!待たせてごめんね!』
『全然いいよーてか、めっちゃカッコよかった!ドラムの人顔面強すぎん?ボーカルとベースも。全員顔面偏差値高くない?』
『あはは、よく言われるよ。学生バンドなのにファンとかいるからね?あの3人』
『やばー、まぁ美咲もイケメン集団に劣らぬ美女だと思うけどね』
『お気遣いありがとうございますー』
『冗談だと思ってるなー?』

 呼吸のように会話が続く。
 深く考えず口に出しても、美咲はいつも私の欲しい言葉を返してくれた。
 楽しいなーなんて思っていると、彼女の背後(はいご)から大きな人影がいきなり美咲に抱きつく。
『お?』
『ちょっ!翼!都の前でやめてよ!』
『誰?この人』
 ジロリと鋭い視線で見られ、怖っ。と思ったが、よく見るとステージでギターを弾きながら歌っていたボーカルイケメンだった。

 話の流れと彼の行動から一つの答えが出る。
『え?!美咲の彼氏だったの?!』
『そう、俺が美咲の彼氏。』
『ちょっと!都ほんとに信じちゃうでしょ!』
『いいじゃん。俺は美咲大好きだから』
『っ!ナチュラルに首を噛もうとするなー!』

 ……イケメンバンドマンと美咲がイチャイチャしていた。

 それはもう羨ましかった。
 でもよく話を聞くとこの俺様系イケメンは噛み癖があるらしく、どこにいようが噛んでくるらしい。
 実際、私の前でも噛んでいた。
 軽く触れられるくらいならキュンとするが、噛むのは正直、行き過ぎだと思う。
 こんな独占欲強強(つよつよ)男子に愛されて束縛とかも凄そうだし、美咲は大変だなぁと同情した。
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