独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

 その日だけでなく、独占欲強強男子の翼くんは会うたび美咲にべったり愛を囁き噛みついていた。
 恋愛ネタ大好きな私ですら少し引く溺愛レベルに、もはや執着と言ってもいい。

 だから、そのうち美咲は押しに負けて付き合うんだろうなーと思っていたのだ。
 それがなんと違う男。

「……うん?」
 さっきの記憶を振り返り、ふと気づく。
 私、美咲の彼氏を見たことがあるな?
 この既視感。しっかり思い返してみれば、美咲のライブで翼くんの横に立っていたイケメンベースくんでは?

「んー……うん。」
 やっぱりそうだ。イケメン好きな私が間違えるわけない。
 
 改めて一層羨ましくなった。
 イケメン2人から愛される人生。
 女の子なら夢見る展開じゃないか。

「いいなぁー美咲。他のイケメン紹介してくれないかな……」

 まぁ美咲だから愛されていたのであって、私では無理だとは思うけど。
 友人が羨ましいからといって妬んだりはしない。
 そんな暇があったら他のイケメンを漁る。

 それに美咲は愛されて当然かな、と思うから。
 友人の私から見ても彼女はとてもいい子だ。

「さー私も帰るかなぁー。ひ と り で。」
 
 (あ〜私も恋人が欲しい〜)
 
 口にこそ出していないが表情はその気持ちを語っていた。
 
 止めていた足を動かし校門を抜ける。
 そのまま駅の方に歩いていると見覚えのある俺様系イケメンが目の前を通る。
 死んだような目をした彼は、素行の悪そうな男女の中に混ざって歩いていく。
 そのまま彼らと一緒に繁華街の方へ消えていった。

「……え、翼くん?」

 都はお節介かと思いつつ、追わずにはいられなかった。
 美咲と一緒にいた彼とは思えないほど憔悴(しょうすい)しきった様子に、なんとなく美咲に伝えなければという使命感に駆られてしまったから。
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