独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
顔が歪む。
不快だった。女の声が翼を呼んでいる。
「……何してるの?」
「……いや、将吾に誘われて……」
「それで?誘われたからクラブで女の人とベタベタ楽しんでるんだ?」
こんなことを言う資格、私にはないのに。
彼女でもない私には咎める理由なんてない。
なのに、イライラが止まらない。
「なんで知って……美咲、今どこにいるんだ?!」
「翼は別に私じゃなきゃだめじゃなかったんだね。……たまたま近くにいたのが私だったから」
「違う!!——っ離れろ!」
電話の向こうにいる女の人に叫んでいるようだった。
翼は焦った様子で話す。
「美咲、どこにいるんだ?!今そっちに……」
「……どこだと思う?」
斜め向かいのナイトクラブ。
その出入り口から走って出てくる翼の姿。
彼は周りをすごい勢いで見回し、私を見つけた。
「ねぇ、翼。答えてよ。翼はもう私じゃなくても良くなったんだよね?」
「ちが……」
翼はスマホを下ろし、こちらに向かってきた。
焦るように顔を戸惑わせながらコンビニの前で悲しむ私の前に立った。
「なんでこんな危ないところにいるんだよ!」
「それは翼が言えることじゃないでしょ」
「……そう……だけど」
「何?私と喧嘩して自暴自棄にでもなったの?」
「……」
「私の言った言葉を少しでも考えてくれた?それもせずに逃げたの?」
「っ……ごめん」
「私は……」
自分だって、翼のこと言えないくせに。
知っている。
自分だって優斗に逃げたじゃないか。
何も考えたくなくて思考を止めて、優斗の言葉に甘えた。
今も甘えたまま、1週間限定の恋人ごっこで自分の気持ちから目を背けて。
言葉が詰まる。
何も言えなかった。
黙ってしまった2人の姿に都が気を遣って声をかける。
「とりあえず場所を変え——」
都は言いかけた。
けどその言葉は1人の人間によって遮られた。
彼は横から入ってきて美咲の手を掴む。
「美咲、急に出ていかないで」
「っ……優斗?!」
冷たいと感じてしまうほど強く見つめる瞳は美咲を離さなかった。
その視線の冷たさに怖いとすら感じてしまう。
どうして、優斗がここにいるの?
どうやって……この場所がわかったの?