こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 お手洗いに再び行き、ざまあ、と先ほどのふたりを思い浮かべる。
 これであのふたりは自分を泣かせた悪人だ。
 あんたたちモブは私を持ち上げてればいいのよ。
 彩羅もおとなしく悪人になればよかったのに。
 あの店にランチに行ったのは、同僚に彩羅の悪口を言わせて居心地を悪くしてやる予定だったからだ。あいつが辞めれば、自分が常連になって専務や店長と仲良く過ごせる。
偽善者の彩羅がみじめに顔をうつむける様はきっと楽しいのに。
みんな悪口が大好きだから、乗っかってくると思ったのに。
 なのに。
 彩羅を追い出すのではなく、自分たちがこないようにしようと言う。
 それでは意味がない。
 だからもっと彩羅を責める方向に話を持っていこうとしたのに、イケメン店長に邪魔された。誘導に乗らない同僚たちにイラつく。
 ネットも最近は低調だ。
リアルビーもエンスタも一言投稿サイトも、いいねが減っている。
 彩羅のせいだ。
 彩羅と離れて、手編み作品をネットにアップすることがなくなった。
 プレゼントされたもの以外にも彩羅が編んだものを撮影し、自分が編んだことにしてネットに上げたら好評で、手編みの得意なおしゃれな私だと思われていたのに。彩羅は間抜けだからいつも写真に撮らせてくれた。
 あいつがあのとき非常階段に来なければよかっただけなのに。
 せっかく人目を忍んで会っていたというのに、ばれたなんて台無しだ。
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