こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
慶太なんて結局、本命ではない。彩羅と別れさせたあとは自分も別れる予定だった。彩羅に恋人がいるのが気に入らなかっただけだから。なのに慶太は自分が本命だと思っているし、女らしさを強要してくるのがうざい。
「だったらお前も男らしくおごれっての」
連れていかれるのはだいたいファミレスで、お会計はほぼ割り勘。百円か二百円くらい多めに出す程度で「俺は男らしく多めに出す」と威張っている。
威張ることを男らしさと勘違いしている慶太が、料理しろ、俺の部屋を掃除しろ、洗濯しろ、と命令してくるのもうっとおしい。
「私は家政婦じゃないっての」
『彩羅はやった』って、あいつが奴隷なだけじゃん。そもそも一か月しかつきあってないならそんなこともしてないだろうし、慶太の作り話に違いない。
目薬を差して目を潤ませて、月菜はオフィスの自席に戻る。
ぐすん、ぐすん、と鼻をすすって目を拭うふりをしながらノートパソコンに向かう。
さきほどのふたりが気まずそうにしているのを見て、ざまあみろ、と思った。
***
水曜日。万葉との約束の当日。
彩羅は気合を入れて準備をした。
服もコスメも新しく買ってしまった。
こんなに気合を入れるのはいつぶりだろう。慶太とのデートなんて仕事帰りに食事をしたくらいで、すぐに振られたから、気合を入れるタイミングがなかった。
「平常心、平常心」
すはーっと深呼吸したところに、スマホが鳴った。
着いたよ、との万葉のメッセージに、彩羅はコートを抱えてマンションを下りていく。
空は明るく晴れており、今日はさほど寒くはない。
「だったらお前も男らしくおごれっての」
連れていかれるのはだいたいファミレスで、お会計はほぼ割り勘。百円か二百円くらい多めに出す程度で「俺は男らしく多めに出す」と威張っている。
威張ることを男らしさと勘違いしている慶太が、料理しろ、俺の部屋を掃除しろ、洗濯しろ、と命令してくるのもうっとおしい。
「私は家政婦じゃないっての」
『彩羅はやった』って、あいつが奴隷なだけじゃん。そもそも一か月しかつきあってないならそんなこともしてないだろうし、慶太の作り話に違いない。
目薬を差して目を潤ませて、月菜はオフィスの自席に戻る。
ぐすん、ぐすん、と鼻をすすって目を拭うふりをしながらノートパソコンに向かう。
さきほどのふたりが気まずそうにしているのを見て、ざまあみろ、と思った。
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水曜日。万葉との約束の当日。
彩羅は気合を入れて準備をした。
服もコスメも新しく買ってしまった。
こんなに気合を入れるのはいつぶりだろう。慶太とのデートなんて仕事帰りに食事をしたくらいで、すぐに振られたから、気合を入れるタイミングがなかった。
「平常心、平常心」
すはーっと深呼吸したところに、スマホが鳴った。
着いたよ、との万葉のメッセージに、彩羅はコートを抱えてマンションを下りていく。
空は明るく晴れており、今日はさほど寒くはない。