こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~



 日曜日、彩羅はおめかしして、毛糸を紙袋に入れて出かけた。
 今日だけは会社のこともなにもかも全部忘れよう。青空羊さんと楽しい時間を過ごすんだ。

 青空羊さんというだけあって、青い色が似合うんだろうな。
 青とひと口にいってもいろんな青がある。アカウントの発言からは、さわやかなきっぱりした青のイメージがした。
 紙袋に入っているのは灰色やベージュ。青があれば絶対に入れたのに、彩羅はたまたま青の毛糸を買っていなかった。

 待ち合わせの喫茶店に入り、きょろきょろと探す。想像していた女性はどこにも見当たらない。
 店員が静かに寄って来た。
「おひとりさまですか?」
「待ち合わせです」
 答えると、店員は営業スマイルを見せた。

「お連れ様がお待ちです。こちらへどうぞ」
 案内されて、彩羅は驚愕した。
 そこにいたのは、どう見ても男性。
 しかも。

「御曹司……?」
 思わずぼそっと零れて、男性が振り返る。
 彩羅は顔をひきつらせた。
 そこにいたのは、まさにわが社の御曹司、糸条万葉だった。
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