こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「レースと着物、相性よさそう」
「そうだな。レースを使った半襟はすでにあるし、最近はレースの浴衣や着物も売られている。着物用のショールを編む人もいるらしい」
「へえ、すごい」
 すでに和装にレースが取り入れられているなんて知らなかった。
「帯締めを毛糸で編むのはどうだろう? しかし毛糸だと伸びてしまうか? 毛糸の着物……は重すぎるか。モスリンの着物なら作られていた時期はあるが」
 モスリンは極細のウールの糸で作られた平織の織物だ。
 うーん、と考え始める万葉に、今度は彩羅がくすっと笑った。彼はいつも編み物のことを考えているらしい。
 ケーキセットが届いて、彩羅は目を輝かせた。
 アンティーク調の金縁のお皿に載ったチョコケーキに、レースのように粉砂糖がふられていて、赤いイチゴソースが鮮やかだ。
 コーヒーが入ったカップはお皿とおそろいで、花のように開いている。
 一緒にケーキをいただきながら、彩羅はうっとりと食器を見つめる。
「うちのお店でもこういうのがあればテンアゲかも」
「テンアゲ」
 万葉に苦笑され、彩羅ははっと口を押える。
「すみません、一瞬、椛川さんが乗り移っちゃって」
「彼女の口調は独特で面白いな」
 万葉はふっと笑みをこぼす。
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