こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「……はい。万葉さんを、見るようにしてみます」
「ありがとう、彩羅さん」
 嬉しそうな彼に、彩羅の顔が熱くなる。外気は冷たいに、自分だけ熱帯にいるみたいだ。
 彩羅はそれ以上なにを言っていいのかわからず、黙り込む。
 万葉もまた黙ってしまい、気づまりな、だけど終わってほしくない時間が流れる。
 寒いのなんて平気。ただ、彼と一緒にいたい。だけど、そんなことが可能なわけもない。
「……また連絡する」
 やがて、ぽつりと万葉が言う。
「はい」
 彩羅が返事をすると、万葉は愛しげに目をほそめて彩羅を見る。
 視線だけで抱きしめられているみたいだ。
 きゅんとする彩羅を置いて、彼は車に乗り込んだ。
 走り去る車がすっかり見えなくなるまで、彩羅はその場に立ち尽くしていた。

***

 月菜はイライラしていた。
 彩羅がいなくなってから、すべてがうまくいかない。
 この前とは別のメンツでランチをしたときに、いかに彩羅に虐げられたかを訴えたら、全員が微妙な顔になった。
「もう萌木さんはいないんだよ」
「安心していいんだよ」
「だけど、苦しくって」
 悲しげにそう伝えたが、同僚たちは困惑した顔でお互いを見合っていた。
 それどころか。
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