こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 会社で給湯室にコーヒーを取りに行ったとき。
「ねえ、さすがにしつこくない?」
「西垣さんね。いつまで萌木さんのこと、こするんだろ」
「悲劇のヒロイン体質だよね。仕事中に泣いていなくなるとか、子供かっ」
「戻ってきても泣きまねしてさ。案外、月菜のほうがなにかしてたりして」
「ありうる。店長じきじきに現われて出禁でしょ?」
「その店長が超イケメンだって」
「行きたいなー」
 きゃっきゃと言い合う彼女らに腹を立て、だが、なにも言わずに背を向けた。
 むかむかと仕事をして、退勤後は慶太に連絡をとる。
『ねえ、聞いて。彩羅ったら今でも私をいじめてくるの。ひどくない?』
『オフィスでも彩羅の味方をする人がいるの』
『研修先でもいじめられたって言ったよね』
『なんとかするって言ったの、どうなった?』
 いっきにそれだけを送るが、返信はなかなか来ない。
 いらいらしながら帰ると、ようやくメッセージが帰ってきた。
『仕事中にメッセージしてくんな』
 はあ?
 月菜は不機嫌にスマホをにらむ。
『お前と違って俺は営業で忙しいんだ』
『もうあいつはいないんだから忘れろよ。女々しいな』
「なんなのよ!」
 追撃を見た月菜は声を荒げる。
「『俺に任せとけ』って言ったじゃない。嘘つき! ぜんぜん男らしくない!」
 ただでさえ万葉や拓斗に比べてスペックが劣るのに、自分を守らないなんてまったく価値がない。
 せめてあのふたりの仲を引き裂いてやらないと気が済まない。
 月菜は憎悪をたぎらせ、スマホを握り締めた。
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