こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「ロットが違うせいですね。色付けをした窯が違うと微妙に色が変わることがあります」
「買うときには説明がなかったじゃない。そっちのミスなんだから返金して」

「え?」
 彩羅は驚いた。
 が、すぐに理解した。隣の手芸ショップで買ってきた客で、カフェと同一の店舗だと思っているのだろう。

「申し訳ありません、返金は手芸店でお願いします。カフェと手芸店のほうでは店が違うものですから」
「謝るんだったらやってきてよ」
 そんな無茶な。
 どう説得すればいいのか、迷ったとき。

「お客様、申し訳ございませんが、そういうサービスは行っておりません」
 いつの間に来たのか、彩羅の隣には拓斗がいた。

「こちらは編み物とカフェタイムを楽しんでいただくお店です。手芸ショップのことは対応しかねます」
 やわらかな、しかし断固とした口調。

「……もういいわよ」
 客はむすっとして荷物を片付け、伝票を持って立ち上がる。
 拓斗がお会計を担当してくれて、客はそのまま手芸ショップへとぷりぷり怒りながら歩いて行った。

「ありがとうございます」
「いいよ。ああいうのは俺に振って。君はバイトなんだから無理しなくていいからね」
 優しさが彩羅の胸をぐさりと刺した。

 仕事はきちんとしたいのに、頼りないと言われている気がする。
 拓斗はすぐにカウンターに戻っていく。
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