こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
『面白そうだ。俺も受けようかな。ちょっと調べてみる』
 彼が、検定?
 彩羅はふふっと笑みをこぼす。
 受験生は圧倒的に女性が多そうだが、彼も受けるなんて。
 もう男らしさのコンプレックスはふっきれたようだ。
「私もがんばらないと」
 やりたいことはたくさんある。
 カフェで活かすためにコーヒーや紅茶の勉強を再開したいし、ニット検定も英語も勉強したい。
「でも最初はニット検定かな」
 マリリンには負けられないし、万葉も受けるなら一緒に合格したい。
 
 翌日から通勤には英会話の解説音声や英語の本の朗読をイヤホンで聞き、休憩時間にはコーヒーや紅茶について調べた。
「真面目だね。これは差し入れ」
 言いながら、拓斗がコーヒーを出してくれた。
「ありがとうございます」
 彩羅は手を止めて、ふうっと息をついた。前のめりになっていたからか、肩が凝っている。
「だけど心配だな」
 彼の言葉に、彩羅は拓斗を見る。
「君は……万葉もだけど、頑張りすぎじゃないかな。真面目でまっすぐで、誠実であろうとする。そこで足をすくわれないといいけど」
 拓斗の言葉に月菜が浮かんでしまい、彩羅はどきっとした。
 月菜の裏を読めずに、まんまと彼女に騙された。
 もうとっくに足はすくわれた。
 が、もう彼女との縁は断ち切れたのだ。だから。
「大丈夫ですよ」
 彩羅はにこっと笑って答えた。
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