こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「わかんないとこあったら聞いてもいい? 彼ぴは塾で忙しいし、内緒にして結果出してびっくりさせたい」
「いいよ。でも私もわかんなかったらごめん」
「そういうことならここ、使ってもいいよ。平日の六時半以降はほとんどお客さんいないし、上がったあとに勉強していきなよ」
「あざまる!」
 嬉しそうな彼女を見て、彩羅は気を引き締める。
 マリリンだって頑張ってるんだ。私も頑張らないと。
 帰った彩羅は、編み物検定の本を開こうとして、ふと一緒に買った毛糸を見た。
 実技のためにあれこれ編んでいるが、自分の編みたいものは編んではいない。
 検定を調べる過程で上がってきた羊の編みぐるみのレシピが気になって、今日はずっとそわそわしていた。
 羊を見ると、どうしても青空羊……万葉を思い出してしまう。
 簡単そうだったし、ちょっとくらいならいいよね。
 色は、青か白か。
 迷ったあげくに、白を選んで編み始める。
 面白くて、ついついあと少し、あと少し、と編んでいくだけで時間が過ぎる。BGMにしている英会話がまったく耳に入らないほどに集中していた。
 完成して時計を見て、唖然とする。
「もう三時!」
 彩羅は慌てて片付け、眠りについた。



 翌日は寝不足で出勤し、だるい体をひきずって仕事をこなした。
 六時半をすぎるとタイムカードを切ったマリリンが客席で勉強を始める。
「片岡さんにも言っておいたから、閉店後もこの場所で勉強していいよ」
「あざまる~。家だとママちゃんがうるさくって。でも片岡さんって誰だっけ?」
 マリリンが首をかしげる。
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