こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 マンションについたらさすがに彼を起こし、彩羅は車を降りる。
 すまない、と謝る万葉はやはり眠たげで、彩羅が降りるとすぐにまた眠りについていた。
 翌日から万葉は店に来なくなった。
 忙しくて行けない、とメッセージが来て、残念だけど、無理をしてほしくないから、ほっとする気持ちもあった。
『本当は毎日行きたいんだけどな』
『落ち着いたらまた来てください。カフェは逃げませんからね。つぶれないように盛り立てていきます!』
『頼りにしてるよ』
 メッセージとともに、サンキュ! と手を挙げる羊のスタンプが返ってきた。

***

「西垣さん。データに間違いがあります。指定してメールしたので、直して送り返してください。今週三度目ですよ。気を付けてくださいね」
 主任の女性に言われ、月菜はむっとしてうつむいた。
「返事は?」
「はい」
 失敗の数を数えているなんて、性格が悪い。
 いらっとしながらメールの添付文書を開き、過去データを参照しながら直していく。
 そっちで直せばいいのに。二度手間じゃん。
 直したものを送信してカップに手を伸ばし、空になっていることに気が付く。
 仕方なく給湯室に行くと、先客がふたりいた。
「コーヒーもうないじゃん」
「萌木さんは補充してくれてたよね」
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