こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「西垣さんはぜんっぜんやらないよね。ミスも多いし。正社員、萌木さんがよかったなー」
「それ言っちゃう?」
 ふたりはくすくすと笑い合い、月菜はむっとした。
「萌木さんが西垣さんのフォローしてること多かったし、それで文句を言われたのをいじめられたって言ったのかも」
「ありうる」
「勝手なこと言わないでください」
 我慢できずに月菜が言うと、ふたりはびくっとして振り返った。
「ごめん……」
「ごめんね」
 ふたりはすごすごと給湯室を出ていき、月菜は中に入る。
「結局コーヒーの補充してないじゃん」
 月菜はむっとして立ち去ったふたりの背をにらむ。
 自分の評判はどんどん落ちている。なんとか挽回しなくては。
 彩羅に毛糸を編ませようにも店は出禁だし、連絡先はブロックされている。仕方なくフリマアプリで買った手編み製品を自作としてアップしたが、なんて無駄な出費をさせられたんだろう。買ったときより高値でフリマアプリに出品したが、なかなか売れない。
ネットでも現実でもうまくいかなくてイライラする。
 コーヒーを淹れて席に戻ると、課長がフロアに呼びかけた。
「週末の編み物フェア、誰か手伝ってくれる人はいないか」
 せっかくの休みをつぶしたくない。
 月菜は顔を伏せてコーヒーをすする。
 だけど、ここで恩を売っておいたほうがいいのかもしれない。
「はーい、私やりまーす!」
 かわいく手を挙げて名乗りを上げると、課長はほっとした顔をした。
「じゃあ詳細はメールで送るから」
 課長の言葉に、月菜はにやっと笑みをこぼした。
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