こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「特別な展示とか、トークショーを予定してるらしいよ。ネット中継もするんだって。編み物キングの高瀬幸次さんもいらっしゃるって」
 拓斗がにこやかに答える。
「キングが!?」
 彩羅は目を輝かせた。
「知ってるの?」
「編み物界の絶対王者ですよ。何冊も本が出てるんです」
「有名なんだね」
「でも、王者と言ってもスポーツと違って誰かと戦ったわけじゃないんですよ。編み物対決とかあったら面白そうです」
 彩羅が言った直後。
「バカじゃないの」
 近くにいた月菜がぼそっとつぶやく。
「ちょっと!」
「いいよ、スルーしよ」
 文句を言おうとしたマリリンを彩羅が止める。
「言われっぱなしでいいの?」
「大人の対応だよ」
 拓斗が言い、マリリンは口をとがらせる。
「私は気にしないから」
 彩羅がとりなすように言ったとき、慶太がばたばたと走って通り過ぎた。
「部長、大変です。メイン展示が遅れると連絡がありました」
「ステージ発表は十一時だが……間に合うのか?」
「渋滞で、もっと遅れるらしいです」
 慶太の言葉に、そばにいた営業が青ざめる。
< 143 / 212 >

この作品をシェア

pagetop