こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「マジかよ。専務がなんて言うか……」
「クビとんだらどうしよう」
 万葉ってそんなに怖がられてるんだ、と彩羅は驚いた。笑ったり照れたり、そんな姿しか……と思ってから初対面を思い出す。
 ぎろっとにらまれたときには蛇ににらまれたカエルの気持ちだった。あんな様子で怒られたらさぞかし怖いだろう。
「俺が専務に言う。お前たちは準備を続けろ」
 営業部長が声をかけ、慶太たちはわたわたと準備を続けた。

***

 月菜は仕事をするふりして歩き、さぼっていた。
 裏方だなんて聞いてない。イベントコンパニオンみたいな仕事だと思ったのに。
 表に出るのは営業の人たち。自分は準備を終えたら中抜けして片付けの時間に来るように言われた。
「近くに時間をつぶせるとこなんてないし。最悪」
 隣のカフェブースには彩羅がいて、また腹が立つ。
 開場の十時になると、アナウンスが入った。
「みなさまにお知らせします。十時になりました、編み物フェア開催です」
 どこかのブースの人が円陣を組み、声をかけあう。
「今日一日、がんばろー!」
「がんばろー!」
 その姿に、月菜は腕をさすった。
「さむっ」
 ああいうノリはダサくて仕方がない。
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