こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
ふと万葉が振り返って視線がばちっと合った。
直後、彼がふっと笑う。
彩羅がどきっとしたときにはもうしかめっつらに戻って部長と話している。
私にだけ笑ってくれた。
前言撤回。本当の彼を知られたくない。
笑いかけられるとものすごく特別扱いに思えるし、仕事中の彼は頭のてっぺんからつま先までどこをどう切り取ってもかっこよくて、隙なんてまったくない。
ついつい彼を見てしまい、軽く首を振る。
「見てほしいってそういうことじゃないし」
しっかりしろ、と気合を入れて、彩羅は仕事に戻った。
***
「十一時となりました、ここからはシジョウクラフトさんのお時間です」
ステージ上の司会の女性が集まった人たちにマイク越しに伝える。
彩羅はこのトークショーのために十一時から休憩をもらっており、ステージの最前にいた。
「ご紹介します、こちらは編み物キングとして名高い高瀬幸次さんです」
幸次が現れて手を振り、観客から「きゃー!」と声が上がった。
「トークのお相手をされますのは、シジョウクラフトの専務、糸条万葉さんです」
ぱちぱちぱち、と拍手が鳴った。
「本日は目玉展示を前にトークショーの予定でしたが、残念ながらまだ到着しておりません。ご期待いただいたみなさまにはお詫び申し上げます。もうあとまもなくで到着の予定です。そこで、お待ちいただく間に編み物対決をご覧いただこうと思います。対決をしていただくのは、ご紹介したこちらのおふたりです!」
直後、彼がふっと笑う。
彩羅がどきっとしたときにはもうしかめっつらに戻って部長と話している。
私にだけ笑ってくれた。
前言撤回。本当の彼を知られたくない。
笑いかけられるとものすごく特別扱いに思えるし、仕事中の彼は頭のてっぺんからつま先までどこをどう切り取ってもかっこよくて、隙なんてまったくない。
ついつい彼を見てしまい、軽く首を振る。
「見てほしいってそういうことじゃないし」
しっかりしろ、と気合を入れて、彩羅は仕事に戻った。
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「十一時となりました、ここからはシジョウクラフトさんのお時間です」
ステージ上の司会の女性が集まった人たちにマイク越しに伝える。
彩羅はこのトークショーのために十一時から休憩をもらっており、ステージの最前にいた。
「ご紹介します、こちらは編み物キングとして名高い高瀬幸次さんです」
幸次が現れて手を振り、観客から「きゃー!」と声が上がった。
「トークのお相手をされますのは、シジョウクラフトの専務、糸条万葉さんです」
ぱちぱちぱち、と拍手が鳴った。
「本日は目玉展示を前にトークショーの予定でしたが、残念ながらまだ到着しておりません。ご期待いただいたみなさまにはお詫び申し上げます。もうあとまもなくで到着の予定です。そこで、お待ちいただく間に編み物対決をご覧いただこうと思います。対決をしていただくのは、ご紹介したこちらのおふたりです!」