こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
ざわっと空気が揺れ、彩羅も声が出そうになって自分の口を押えた。
万葉が公衆の面前で編み物をするなんて。人に知られたくないって言ってたのに。
はらはらする彩羅と違い、彼は落ち着き払って不敵な笑みを浮かべている。
「編んでいただくのはこちらのコースター。編み図は事前にご確認いただいておりますし、お手元にもご用意しています。制限時間は十分、どちらが先に編みあがるでしょうか。完成度、精密度などで総合的に判断します! 審査は不肖わたくしが務めさせていただきます!」
司会が示すモニターには花のような形のコースターが映っていた。
社員がかぎ針と編み糸をふたりに渡し、立ち去る。
「今回使用する毛糸はシジョウクラフトの新商品です。愛知のメーカーと契約締結した記念として急遽発売が決まりました、新色です!」
冬らしい温かそうなサーモンピンクだ。
「準備はよろしいですか?」
毛糸を結んで輪を作り、かぎ針をひっかけて待っていた万葉と幸次が頷く。
「では参ります。三、二、一、スタート!」
ふたりを映すモニターの隅に数字が現れ、カウントダウンしていく。
「キング、さすがのスピード! 手の動きがなめらかで迷いがありません。一方の糸条専務……おおっと、予想外の速さ。速すぎる、もはやプロ! しかしキングがリード!」
「キングがんばってー!」
「キング~!」
キングファンが声を上げる中、彩羅ははらはらしていた。万葉にもキングにも頑張ってほしい。
カフェの客も通りすがりの人もモニターに釘付けだ。
「実は糸条専務は編み物が趣味。などと言う間に二段目です。おっと、専務が編み目をとばした! ほどいて編み直していますが、痛いタイムロス!」
頑張って、糸条さん。
胸の前で両手を組み、いつしか万葉だけを見つめている。
万葉が公衆の面前で編み物をするなんて。人に知られたくないって言ってたのに。
はらはらする彩羅と違い、彼は落ち着き払って不敵な笑みを浮かべている。
「編んでいただくのはこちらのコースター。編み図は事前にご確認いただいておりますし、お手元にもご用意しています。制限時間は十分、どちらが先に編みあがるでしょうか。完成度、精密度などで総合的に判断します! 審査は不肖わたくしが務めさせていただきます!」
司会が示すモニターには花のような形のコースターが映っていた。
社員がかぎ針と編み糸をふたりに渡し、立ち去る。
「今回使用する毛糸はシジョウクラフトの新商品です。愛知のメーカーと契約締結した記念として急遽発売が決まりました、新色です!」
冬らしい温かそうなサーモンピンクだ。
「準備はよろしいですか?」
毛糸を結んで輪を作り、かぎ針をひっかけて待っていた万葉と幸次が頷く。
「では参ります。三、二、一、スタート!」
ふたりを映すモニターの隅に数字が現れ、カウントダウンしていく。
「キング、さすがのスピード! 手の動きがなめらかで迷いがありません。一方の糸条専務……おおっと、予想外の速さ。速すぎる、もはやプロ! しかしキングがリード!」
「キングがんばってー!」
「キング~!」
キングファンが声を上げる中、彩羅ははらはらしていた。万葉にもキングにも頑張ってほしい。
カフェの客も通りすがりの人もモニターに釘付けだ。
「実は糸条専務は編み物が趣味。などと言う間に二段目です。おっと、専務が編み目をとばした! ほどいて編み直していますが、痛いタイムロス!」
頑張って、糸条さん。
胸の前で両手を組み、いつしか万葉だけを見つめている。