こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「できました!」
 制限より一分早くキングが声を上げる。
「こちらもできました」
 やや遅れて万葉が言い、カウントダウンが止まる。
「おおっと、ふたりとも制限時間前に完成です。できばえはどうでしょうか!」
 テーブルに置かれた作品をカメラが大映しにする。
「どちらも網目がそろって綺麗です。裏側も綺麗です。眼福です。これを審査して勝ちを決めなくてはならないのはつらいのですが」
 司会の女性は作品をなんどもひっくりかえして確認する。
 見守る彩羅の心臓はどきどきと鼓動を打つ。
「決まりました」
 司会がおごぞかに告げ、カメラが彼女の顔を映す。
 続いて幸次が映り、万葉が映る。
「今回の勝者は……」
 間を置いた司会にすべての視線が集まる。
「糸条専務です!」
 万葉は驚愕とともに立ち上がった。
「俺が、勝った……? キングに……?」
「極めて難しい判定でした。どちらも美しいです。が、糸の始末が勝敗をわけました」
 幸次は額に手を当てた。
「確かに、早く仕上げようとして糸の始末がおろそかでした」
「今ここに新しいキングが生まれました!」
 わー! と会場が沸き、拍手が満ちる。
 彩羅もめいっぱい拍手をしたが、万葉は戸惑っているようだ。
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