こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 さっと服を脱ぐとドレスを身に着ける。
 鏡がないからスマホで自撮りした。
「悪くないわ」
 シルクのような光沢に、肌ざわりもいい。しなやかでなめらか。
 ふとエルネスに見せるサンプルが入っているという段ボールを見る。どんな素敵な新商品が入っているのだろう。見るだけなら問題ないよね。というより、こういうものを見られなければ大企業の正社員になった意味がない。
 月菜はわくわくと箱を開け、直後に能面になった。
「なんだ、普通の布。柄が新作ってこと?」
 人工蜘蛛の糸のドレスに比べ、つやめきが足りない。
 ピロロン、と音が鳴って、月菜はスマホを見た。
「リアルビーだ!」
 通知から五分以内に写真を撮って上げないと、見られなくなる。
「ちょうどいいわ」
 新作の布を手に自撮りをアップし、『エルネス用の新作の布と蜘蛛の糸のドレス。特別に着させてもらえた!』と説明を入れる。あとでエンスタと一言投稿サイトにも上げよう。
「なんでそれ着てんだよ!」
 戻ってきた慶太が声を上げ、月菜は得意げに見せる。
「似合うでしょ」
「さっさと脱げよ、見られたら大変だぞ」
「はあ?」
「勝手に着ていいやつじゃないんだよ、早く」
 焦った慶太に催促され、月菜はしぶしぶ着替えた。
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