こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 派遣を続けようかとも思ったが、課長から月菜からいじめをしたと報告されたようで、派遣会社からは紹介を渋られた。
 青空羊の人柄はネットで知っている。彼の紹介ならきっと大丈夫だろう。なにしろ中身は御曹司で専務なのだ。

 彩羅は意を決して彼を見た。
「やっぱり、挑戦してみたいです。お願いできますか?」
「ではお名前と連絡先を教えていただけますか? 俺は糸条万葉と言います」
「私は萌木彩羅です」
 スマホを出して連絡先を交換すると、ふふ、と彼が笑みをこぼす。

「彩羅さん。お名前も字もおきれいですね。羅にはいくつか意味がありますが、うすぎぬの意味もあります。彩りのきれいな布のイメージですね」
「それでアカウント名を華やかな糸でけいとにしたんです」
「俺の苗字が糸条なので、ご縁を感じます」

 にこにこする彼に再びほっこりする。
 黙っているときにはダイヤのように硬質で冷たい美しさだが、笑うと絹織物のようにつややかでまろやかな輝きに変わる。
ずっと笑っていたらいいのに、と彩羅は思う。怖がられる重役よりも笑顔の重役のほうがきっとみんな親しみを感じてくれるのに。

「面接の日時でご連絡さしあげますので、よろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
 頭を下げる彼に、彩羅も頭を下げた。
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