こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 ずっと……ずっと青空羊と無邪気な友達でいたかった。
 いったんは万葉と近づいたように思えた。
 彼がお店に来るのを楽しみにして、来ないとさみしくて。
 まるで恋をしたみたいに。
 ……違う。
 彩羅はぎゅっと痛む胸に手を当てた。
 もう、恋をしてる。
 彼が好きだ。
 だから近くにいたかった。
 友情はとっくに恋になっていたのに、気づきたくなかった。
 もう、遅い。
 気づいてしまった。
 彩羅は顔を両手で覆う。
 恋になったら、きっと最後には傷つく。万葉から好意をもらっても、これだけ立場が違うのだから、うまくいくように思えない。
 悲しみは次々とあふれてくるのに、涙だけは一滴もこぼれず、ただ胸だけが痛かった。
< 168 / 212 >

この作品をシェア

pagetop