こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
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 それからは自分から彼にメッセージを送らなくなった。ひけめが大きくなり、どうメッセージをしたらいいのか、わからなくない。
 彼からのメッセージには明るく返したから、変には思われていないだろうと思う。
 いつでも明るくふるまう拓斗とマリリンは本当にすごいと思う。
 ふと見た店には数人のお客さんがまばらに座っている。
「この赤い糸、ひと目ぼれして買っちゃったの。早速編んでる」
「綺麗だね。そういえば、夫が私とは運命の赤い糸でつながってたって言いだしてさ」
 楽しげな会話がこぼれる平和なお店。
 素敵なお店で働けているのに、心は晴れない。
 暮れる街並みを窓越しに眺めると、黒い車が入ってくるのが見えた。
 まさか、と思っていると降りて店内に入ってきたのは、万葉だった。時計を見ると、まだ五時前だ。
「仕事は……」
「抜けてきた。すぐ戻る。君が心配で」
「心配?」
「元気がなさそうだったから」
 彩羅は目をみはった。
 メッセージでは明るく振舞ったつもりなのに、彼には通用していなかった。
「私は大丈夫ですから戻ってください」
「敬語」
「……糸条さんは重役ですし、私はしがないバイトです」
 彩羅の言葉に、万葉は顔をしかめた。
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