こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「またそれだ。君までそんなことを言うのか」
万葉は吐き捨てる。
「みんな俺が御曹司だから、専務だからという。だから俺は編み物が救いだった。青空羊のアカウントで、立場の違いなどなく君と対等に話せて嬉しかった。君とならずっと対等でいられると思った。なのに結局、君もそれを持ち出すのか」
万葉はまっすぐに彩羅の目を見てくるから、彩羅は耐えられなくて目をそらした。
「ここはネットじゃないですし……」
「それだけじゃないだろ。卑屈になる原因はなんだ」
「……現実に気づいただけです」
彩羅はぽつりとこぼす。
「気づいた?」
「青空羊さんは、万単位のフォロワーのいる人気アカウント。私はフォロワー二けたの、ウェブのすみっこにいるモブ」
彩羅は泣きそうな顔で、それでも笑顔を万葉に向けた。
「最初から、ネットの上でも格差はあったんです」
万葉のこめかみがぴくっと動いた。
「君の思い込みだ」
「いいえ、現実です。ネットは現実の延長線なんですから」
彩羅の胸が痛む。
好きな人に、好意を向けてもらえたのに。
どうして、好きなのに拒絶しないといけないんだろう。
……わかってる。これはまた「逃げ」だ。傷つきたくないから。
前に職場をやめたときだってそうだ。あれ以上は傷つきたくなかったから、逃げた。
「どうしたら君に伝わる? どうしたら俺は俺だと、わかってもらえる?」
「わかってますよ」
「わかってない!」
怒鳴り声に、彩羅はびくっと体を震わせる。
万葉ははっとして、自身の口に手を当てる。
万葉は吐き捨てる。
「みんな俺が御曹司だから、専務だからという。だから俺は編み物が救いだった。青空羊のアカウントで、立場の違いなどなく君と対等に話せて嬉しかった。君とならずっと対等でいられると思った。なのに結局、君もそれを持ち出すのか」
万葉はまっすぐに彩羅の目を見てくるから、彩羅は耐えられなくて目をそらした。
「ここはネットじゃないですし……」
「それだけじゃないだろ。卑屈になる原因はなんだ」
「……現実に気づいただけです」
彩羅はぽつりとこぼす。
「気づいた?」
「青空羊さんは、万単位のフォロワーのいる人気アカウント。私はフォロワー二けたの、ウェブのすみっこにいるモブ」
彩羅は泣きそうな顔で、それでも笑顔を万葉に向けた。
「最初から、ネットの上でも格差はあったんです」
万葉のこめかみがぴくっと動いた。
「君の思い込みだ」
「いいえ、現実です。ネットは現実の延長線なんですから」
彩羅の胸が痛む。
好きな人に、好意を向けてもらえたのに。
どうして、好きなのに拒絶しないといけないんだろう。
……わかってる。これはまた「逃げ」だ。傷つきたくないから。
前に職場をやめたときだってそうだ。あれ以上は傷つきたくなかったから、逃げた。
「どうしたら君に伝わる? どうしたら俺は俺だと、わかってもらえる?」
「わかってますよ」
「わかってない!」
怒鳴り声に、彩羅はびくっと体を震わせる。
万葉ははっとして、自身の口に手を当てる。