こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「悪い……」
「いえ」
「今はお互い、感情的になっている。また冷静になってから話そう」
「……はい」
何度話しても、きっと答えは変わらない。
そう思いながらも彩羅は返事をした。
最初から存在する格差をなかったことにしようとした。そこに無理があったんだ。
張力がかかりすぎた糸が、とうとう切れただけ。
万葉は彩羅をじっとみつめ、それから思いを振り切るように踵を返す。
彩羅はこわばった笑みを浮かべたまま、それを見送り、車が走り去ると大きく息をついた。
「無理だよ」
彩羅はうつむいた。
彼はいつでも好意を向けてくれる。
だけど、肝心の「好き」と言う言葉は言ってくれない。だから自信を持てないし、ふたりの間にある大きな崖を登る勇気なんて、とうてい持てない。彼から糸を垂らされたって不可能だ。
「あー、しゃべってたら糸がからまっちゃった」
客席から嘆きの声が聞こえる。
「すごい絡まり方。切るしかないんじゃない?」
「だよね。仕方ないかあ」
ちょきん、と赤い糸を切る音が聞こえて、彩羅は思わず耳をふさいだ。
「いえ」
「今はお互い、感情的になっている。また冷静になってから話そう」
「……はい」
何度話しても、きっと答えは変わらない。
そう思いながらも彩羅は返事をした。
最初から存在する格差をなかったことにしようとした。そこに無理があったんだ。
張力がかかりすぎた糸が、とうとう切れただけ。
万葉は彩羅をじっとみつめ、それから思いを振り切るように踵を返す。
彩羅はこわばった笑みを浮かべたまま、それを見送り、車が走り去ると大きく息をついた。
「無理だよ」
彩羅はうつむいた。
彼はいつでも好意を向けてくれる。
だけど、肝心の「好き」と言う言葉は言ってくれない。だから自信を持てないし、ふたりの間にある大きな崖を登る勇気なんて、とうてい持てない。彼から糸を垂らされたって不可能だ。
「あー、しゃべってたら糸がからまっちゃった」
客席から嘆きの声が聞こえる。
「すごい絡まり方。切るしかないんじゃない?」
「だよね。仕方ないかあ」
ちょきん、と赤い糸を切る音が聞こえて、彩羅は思わず耳をふさいだ。