こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 本社ビルの前で、月菜にまんまと加害者と被害者の構図を作られたこと、会社の人に見られたこと。月菜に動画に撮られていて、いつそれを悪用されるかわからないこと。

「足をすくわれるかもと忠告を受けたのに、申し訳ありませんでした」
「そこで謝るんだ。君は……」
 言葉をなくす拓斗に、彩羅はカップをただ見つめる。

「万葉には言った?」
「言ってないです。……言いたくなくて」
 なにかあったとばれているし、ポーチのことも聞かれたけれど。

「どうして?」
「せっかくプレゼントしたものを盗られたなんて、傷つくと思うんです。それに……取り返せないふがいない自分を見られたくなくて。もう、どうしたらいいか……」

「真面目で正直。強がりで被害を隠す。悪人にはかっこうの餌食だね」
 彩羅はさらに深くうつむいた。
「だけど、そんな君だから俺は放っておけないんだろうなあ」

「申し訳ありません」
「謝るところじゃないんだよ?」
 苦笑する彼に、彩羅はつと顔を上げる。
 優しげな、包み込むような笑顔が彩羅を見つめている。

「俺を頼ってほしいな」
「過剰に頼るのは、迷惑になります」

「君からの迷惑なら大歓迎だよ」
 冗談めいた、だけど本気を感じさせる口調。
「俺が守ってあげる」

 彩羅は目を丸くして彼を見た。
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