こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「カップは俺が洗っておくよ。上がっていいからね」
「甘えさせていただきます。お疲れさまです。……ありがとうございました」
 彩羅はぺこりと頭を下げて店を出る。

 拓斗は席に座ったまま、自分が淹れたカフェオレを飲んだ。
 もう冷めており、生ぬるい。
 まるで自分だ、とため息をついた。

***

 空になったカップを見つめ、拓斗はふっと過去に思いを馳せた。
 子供のころから外見をほめられてきた。
 かわいい、きれい、と大人たちは自分を甘やかしてくれる。

 御曹司であることもあり、周りからの扱いはいつも丁寧だった。周囲の心をつかむ術はすぐに理解し、かわいがられてきた。
 学校では男たちのやっかみを受けることもあったが、うまくいなして波風をたてることなくやってきた。

 大学で出会った万葉はまるで自分と違っていた。
 まっすぐで、真面目。
 からかったらむきになって言い返す。
 彼もまた美形だったのに、自覚がないのが面白かった。

 彼の姿やステータスで近づいた女性を拓斗目当てと思い込んで紹介してくるのも、ものすごく面白い。
 万葉に脈なしと思った女性はすぐに拓斗に色目を使う。だから拓斗がおいしくいただいた。
 それで余計に万葉が誤解したのが愉快だ。
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