こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 次々と恋人が変わり、同時並行もある。女癖が悪いとあきれられたが、かわいい女の子と過ごすことのなにが悪いのかと笑い返した。
 万葉が編み物に夢中だったからそんなに楽しいのかと思って挑戦したこともあるが、良さはわからなかった。

 女のほうがかわいくて面白い。自分の行動ひとつで笑ったり泣いたり。
 私を見てくれない、と泣かれたときにはさっさと別れた。そのころにはたいてい飽きていた。飽きさせずに楽しませてくれる女性はいない。女性はみな自分を楽しませてくれる男を求めているのに。

 彼女らだって「自分」を見てくれていない。御曹司だから、外見がいいから。万葉がなびかないから。そんな理由で寄ってこられて、真剣につきあえるわけがない。

 彼女らが心から求めているのは逃げ場であり、守護者。
 拓斗は大企業の社長の息子、権力も金もあり、守る力がある。だから拓斗に逃げ込もうとしている。
 拓斗のもとにいる間は、逃げ場になってあげた。優しく甘やかして、それで彼女たちは満足している。要求が大きくなる女性もいれば、「このままじゃダメだ」と離れていく女性もいた。

 フォレストの仕事は、ほかより多少は面白かったからやっていただけだし、編み物カフェは、万葉のためなら、とその程度の気持ちで引き受けた。
 彩羅との出会いは予想外で、最初から興味津々だった。万葉が「手を出すな」と言ってくるのは初めてだったから。

 なにごとも一生懸命でかわいかった。
 店長としての自分になつくものの、男として見てこないのも新鮮だ。
 女性を拓斗に紹介してばかりだった万葉が牽制をかけてくる。

 もっと彩羅に興味が出た。
 万葉が本気であればあるほど、彩羅が欲しくなった。
 彼が欲しがるほどなのだ。ほかのどんな女より価値がある。

 だが、なかなか手を出せずにいた。
 彼女みたいな生真面目なタイプは迂闊に近づくと拒否されるため、距離を縮められなかった。
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