こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「万葉がうらやましい」
 真剣に取り組めるものがあって。
 真剣に愛せる彼女がいて。
 真剣に向き合ってくれる彼女がいて。
 拓斗はシートの背にもたれ、力が抜けたように天を仰いでいた。

***

 帰宅した彩羅は、食事を済ませシャワーを浴びた。
 髪を乾かしてから、通知に気づいてスマホを見る。
『今度はこんなの編んだよ! 彼ぴにも編む』
 マリリンが編んだマフラーと一緒に映る自撮りを送ってきていた。
「楽しそう」
 マリリンが純粋に編み物を楽しんでいるのがうらやましい。
 自分も以前はすごくのめりこんでいたことを思い出す。
 思えば、自分の編み物人生は常に青空羊とともにあった。ネット越しに、彼と一緒に楽しく過ごしてきた。
 そうして気が付けば青空羊のアカウントにアクセスしてしまう。
 見に行った彩羅は、ありえないものを見つけて唖然とした。
「本当に?」
 アカウントが違うのではないかと確認したが、やはり青空羊だ。
 最新の投稿では、彼が編み物をする動画が映っていた。
 全身を、顔をさらして。
 コメント欄には『専務だ!』『青空羊さんがエンペラーとかムネアツ』などとコメントが躍る。
 どうしてこんな動画を。
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