こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
『青空羊』は立場に関係なく楽しめるアカウントだと言っていたのに、どうして自分で壊しに行ってしまったのだろう。
今まで築いてきたなにもかもをなくしてしまうのに。
もう、すべて嫌になってしまったのだろうか。
息抜きのできる逃げ場がなくなったらどうするのだろう。
最後に、彼はコメントを残していた。
カメラに真正面から向き合うから、まるで自分を見つめられているように錯覚してしまう。
彼は真剣な顔で語る。
『俺は今まで、男らしさにこだわって編み物が趣味であることを隠していました。だけど、ある人が自分らしくあればいいと言ってくれて、それで自信がつきました。いい年した大人が恥ずかしいですが』
言葉を切った彼が照れて目をそらすのが、なんとも言えずに愛らしい。
彼は再びカメラを見た。
『だけど、エンペラーの名も、一級を合格して賞をいただけたのも、すべてその人のおかげです』
彩羅は心臓が止まりそうになった。
これはきっと、自分のことだ。
『ネットの世界は蜘蛛の巣のように電子の糸が張り巡らされ、広すぎて果てが見えない。そんな世界の膨大なアカウントの中で、君に巡り合えた。これはもう奇跡だ。心から、ありがとう。俺は俺、これからも変わらず俺です』
動画はそこで終わっていて、彩羅はスマホをテーブルに置いた。
自暴自棄なんかではなかった。
彩羅は画面が暗くなったスマホを見つめる。
彼は、彼自身であることを選んだのだ。
積み上げたものを壊したんじゃない、殻を破って積み上げたんだ。
では、自分はどうだろう?
今まで築いてきたなにもかもをなくしてしまうのに。
もう、すべて嫌になってしまったのだろうか。
息抜きのできる逃げ場がなくなったらどうするのだろう。
最後に、彼はコメントを残していた。
カメラに真正面から向き合うから、まるで自分を見つめられているように錯覚してしまう。
彼は真剣な顔で語る。
『俺は今まで、男らしさにこだわって編み物が趣味であることを隠していました。だけど、ある人が自分らしくあればいいと言ってくれて、それで自信がつきました。いい年した大人が恥ずかしいですが』
言葉を切った彼が照れて目をそらすのが、なんとも言えずに愛らしい。
彼は再びカメラを見た。
『だけど、エンペラーの名も、一級を合格して賞をいただけたのも、すべてその人のおかげです』
彩羅は心臓が止まりそうになった。
これはきっと、自分のことだ。
『ネットの世界は蜘蛛の巣のように電子の糸が張り巡らされ、広すぎて果てが見えない。そんな世界の膨大なアカウントの中で、君に巡り合えた。これはもう奇跡だ。心から、ありがとう。俺は俺、これからも変わらず俺です』
動画はそこで終わっていて、彩羅はスマホをテーブルに置いた。
自暴自棄なんかではなかった。
彩羅は画面が暗くなったスマホを見つめる。
彼は、彼自身であることを選んだのだ。
積み上げたものを壊したんじゃない、殻を破って積み上げたんだ。
では、自分はどうだろう?