こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「なにこれ! 暇人なの!? 私のアカウントっていう証拠は!?」
「これをごらんください。同アカウントですが、手元が映っています」
 どこかのカフェでフローズンドリンクとともにピースをした彼女の手が映っている。
「現在の技術では、画像から指紋を割り出すことが可能です。ご希望でしたら民間の科捜研に送って指紋を確認しましょう」
「そ、そんなの、個人情報保護法違反じゃないの!」
「自分から見せているのに?」
 彩羅は冷たく言い返す。
「指紋は警察でも証拠として採用される本人確認手段だ。社のハラスメント事案であり、費用はこちらでバックアップする」
 万葉の追い打ちに、月菜の顔から血の気が引いた。会社が彩羅の味方についた宣言だ。
「自分のアカウントだと認めるな?」
「……はい」
「お前、こんなずるいことしてたのかよ」
 慶太があきれたように責める。
 月菜は悔しげに唇を噛んだのち、悲壮に顔をゆがめた。
「だけど、本当に私も編んだんです。画像が同じってだけで決めつけるなんてひどい。信じてください。私は専務に編み物対決のアイディアを出して助けましたよね?」
 月菜は必死に考える。嫌いな人の考えを採用するはずはないし、本当は私を好きなはずで、だから助けてくれる。
 そう思ったのだが。
「あのアイディアは萌木さんのものだ」
 万葉は眉間のしわを深くした。
「彩羅がそう言ったんですか? ひどい、アイディアまで盗んで。彩羅はいつもそうなんです。証拠がないのをいいことに」
 顔を覆う月菜に、彩羅はあきれ果てた。ここまで被害者ぶれるのがすごい。
 慶太はおろおろして、課長は彫像のように身動きすらしない。
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