こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「証拠ならあるぞ」
 万葉がフィンガーマウスを操作し、編み物フェアの会場を映した動画がスタートした。
『これ、ちゃんと映ってる?』
『大丈夫、映ってる』
 カメラテストをしている人たちの声。
 動画にはカフェの準備をする彩羅たちも映っていた。
『キングが!?』
『知ってるの?』
『編み物界の絶対王者ですよ。何冊も本が出てるんです』
『有名なんだね』
『でも、王者と言ってもスポーツと違って誰かと戦ったわけじゃないんですよね。もし編み物対決とかあったら面白そうです』
『バカじゃないの』
 月菜の声がして、動画が停止された。
「これは君の声だ。ご希望なら声紋鑑定もしてやろうか」
 月菜はうぐ、と言葉につまる。
「どうなんだね」
 課長が催促し、月菜はうつむいてぎりっと奥歯をかみしめた。
「課長、専務の味方するんですか? いっつも、あんな若造、社長の息子でなかったら専務になってなかったって言ってるのに」
「な、なんてこと言うんだ。専務、私は決してそのようなことは」
「話をずらすな。時系列としては俺への進言はこのあとだ。『バカじゃないの』というアイディアを提案したことになるが?」
 月菜は目を泳がせた。
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