こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「私も同じこと考えてたし、あとからやっぱりいいなって思って……」
 言い訳する声には力がなく、語尾はぼそぼそと消えた。
「これはもういいです。過去の編み物のことも、もういいです。だけどポーチだけは返してください」
「私が編んだって言ってるのに、証拠証拠ってうるさい! 私だって彩羅に土下座を強要された証拠があるんだから!」
 月菜はスマホを取り出し、タップして動画を再生し、万葉に見せる。
 彩羅がポーチを取り返しに行ったときの映像だ。
 だが。
「こんなものが証拠になると思ったのか」
 万葉は一刀両断した。声にはあきれの色がある。
「では、こちらも防犯カメラの映像を出そう」
 直後、モニターには糸条紡績の玄関ポーチが映る。
 会話も録音されており、月菜が独り芝居で正座をする様子が映っていた。
「萌木さんは土下座を強要していないし、実際に土下座は行われていない」
「カフェの防犯カメラの映像もあります」
 彩羅が言い、万葉がモニターを切り替える。
 カフェに月菜が現れ、ポーチを強奪する様子が映っていた。
「これでも君は盗んでいないと言い張るのか? これは窃盗ではすまない。物を投げつけるのは暴行、つまり強盗罪の要件を満たす可能性がある」
「は!?」
 月菜は全身をわなわなと震わせる。
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