こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「君は研修先でも証拠もなく店長や店員にいじめを訴え萌木さんを孤立させようとした。手芸ショップ、カフェ、両店長に接触しないように言われたのちに、同僚をひきつれて自らカフェに行き、萌木さんを中傷している。すでに証言を得ているし、防犯カメラ映像も確保してある」
月菜はこれも言い返せずに黙る。が、しばらくして、ぽつりと言った。
「……ポーチは、盗られたのを取り返しにいっただけです」
「まだ続けるんだ。今でも騙せると思うの? 本当に自作なら、ここで編んで見せて」
彩羅は机の下からかごを取り出し、月菜の前に置いた。
「ほ、本がないと編めないし……」
「じゃあこれを使って」
彩羅はコピー用紙に印刷された編み図を渡した。
「違うものだけど、編み図の通りには編めるでしょ? 本当に編めるならね」
月菜はごくっと唾をのみこみ、編み図を見て、糸玉の入ったかごを見る。
月菜はかごに手を伸ばしたものの、すぐにひっこめておびえたように首を振る。
「無理、こんな脅されて人前でなんて……手を痛めてるし……」
月菜は自分を抱きしめるようにして顔をそむける。
彩羅は苦々しく彼女を見た。まるでいたぶられているかのようで、ここだけを見たら彼女が被害者だと誰もが思うだろう。
仕上げの時間だ。
彩羅はきりっと月菜を見据え、言葉の釣り糸を垂らす。まるで救いの蜘蛛の糸のように。
「仮にあなたが編んだとして、私と同じ本を使ってるわよね。編み物キングの『誰でも簡単すごいニットいろいろ』を買ったのね」
「そ、そうよ。だから編んだものがかぶったんだわ」
月菜が必死に言う。
かかった。
彩羅は内心でにやりと笑う。
慎重に釣りあげなくてはならない。糸を切らさないように。
月菜はこれも言い返せずに黙る。が、しばらくして、ぽつりと言った。
「……ポーチは、盗られたのを取り返しにいっただけです」
「まだ続けるんだ。今でも騙せると思うの? 本当に自作なら、ここで編んで見せて」
彩羅は机の下からかごを取り出し、月菜の前に置いた。
「ほ、本がないと編めないし……」
「じゃあこれを使って」
彩羅はコピー用紙に印刷された編み図を渡した。
「違うものだけど、編み図の通りには編めるでしょ? 本当に編めるならね」
月菜はごくっと唾をのみこみ、編み図を見て、糸玉の入ったかごを見る。
月菜はかごに手を伸ばしたものの、すぐにひっこめておびえたように首を振る。
「無理、こんな脅されて人前でなんて……手を痛めてるし……」
月菜は自分を抱きしめるようにして顔をそむける。
彩羅は苦々しく彼女を見た。まるでいたぶられているかのようで、ここだけを見たら彼女が被害者だと誰もが思うだろう。
仕上げの時間だ。
彩羅はきりっと月菜を見据え、言葉の釣り糸を垂らす。まるで救いの蜘蛛の糸のように。
「仮にあなたが編んだとして、私と同じ本を使ってるわよね。編み物キングの『誰でも簡単すごいニットいろいろ』を買ったのね」
「そ、そうよ。だから編んだものがかぶったんだわ」
月菜が必死に言う。
かかった。
彩羅は内心でにやりと笑う。
慎重に釣りあげなくてはならない。糸を切らさないように。