こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「黙れ、嘘つき!」
「課長も! どうして助けてくれないの! 普段は私にあんなに迫ってくるくせに!」
「君はなんてこと言うんだ」
「正社員になりたかったらわかってるなって言ったじゃないの!」
「そ、そんなこと言ってない」
「録音だってあるんだから! セクハラで訴えるわ!」
「君だってのりのりで食事に来てたじゃないか。正社員になれたらつきあってもいいって」
「お前、浮気してたのかよ!」
「やめろ、見苦しい」
 万葉の声に、言い合っていた三人がピタッと止まった。
「萌木さんには強盗での刑事告発を提案する」
「警察とかありえないし! そもそも彩羅が押し付けてきたんだし、私が自分で作ったって言えって命令されたし! そんなに欲しいんだったらあげるわよ!」
 月菜はポーチを彩羅に投げ渡す。
 彩羅はきちんと受け取り、ぎゅっと抱きしめる。
 ようやく取り戻せた。ほっとして、胸が熱くなる。
「ほかにも巻きあげたものを返してやれよ」
 慶太が言う。その声にあるのは、万葉への媚び。
「もう売ったし、小銭にしかならなかったし! みんなフリマで売ってるのに、どうして私ばっかり責められるの!? あんたなんて私をいじめるためにちまちま私の画像漁って、性格悪いし気持ち悪い!」
「あなたはそういう人よね、かわいそうに」
 彩羅の目が憐憫を含み、月菜はかっとする。
「なによ、かわいそうって!」
「努力しないでうわべを取り繕って、最後にはぼろが出る。それに気づかないで、さらに墓穴を掘る。人の縁を自分で切っていく一方だわ」
「そんなこと――」
 ないわ、と言いかけて、月菜は口とつぐんだ。
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