こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「ふたりともまだ萌木さんに謝罪もしていない。さっさと謝れ」
 万葉が言うと、慶太は速攻で頭を下げた。
「申し訳ございませんでした!」
 節操もない慶太に、彩羅は唖然とした。まったく心がこもっていない。
「お前も早く謝れよ」
 肘でつつかれ、月菜は悔し気に顔をゆがめ、それから頭を下げた。
「……申し訳ありません」
 声は小さくて、消え入りそうだった。
 万葉は彼らに侮蔑の目を向けてから、彩羅を見る。
 彩羅は頷いた。
 もうこれでいい。これで、自分の中のけじめをつけることができた。
 万葉は彩羅から月菜たちに目を戻す。
「今後は弁護士からの連絡を待て」
「弁護士って……」
「俺まで……」
 月菜と慶太はがくりとうなだれる。
「セクハラ事案については別途追及する」
 容赦ない万葉に、課長は身をすくめた。
「ふたりを連れていけ」
 命じられた課長は月菜を連れ、会議室を出る。
 彩羅と万葉は自然と顔を見合わせ、笑みをこぼす。
「彩羅さん、かっこよかった」
「糸条さんのほうが何倍もかっこよかった」
「光栄だな」
 万葉は嬉しそうに目を細めた。
「だけど情報流出で大変なのよね。心配」
「大丈夫だ」
 断言に、彩羅は彼を見る。
「ピンチをチャンスに変える、それが俺の仕事だ」
 万葉は不敵な笑みを浮かべていた。
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