こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
翌朝、彩羅は鏡の前で全身をチェックする。
「大丈夫、だよね」
バッグも確認した。中にはラッピングされた小さな紙袋。今日は万葉にこれを渡し、感謝とともに気持ちを伝えるつもりだ。
約束の時間の前にマンションの下に降りると、すでに万葉は来ていた。いつかのように車を降りて彩羅を待っていてくれる。
彩羅はたたっと駆け寄り、声をかける。
「お待たせしました」
「いや……今日もかわいいな」
まぶしいものを見るみたいに目を向けられた。それだけで、春が来たみたいに温かくなる。
「その羊は?」
バッグにつけた小さな羊の編みぐるみを見て彼が言う。
「編んでみました。編みぐるみは初めてです」
「それもかわいいな」
ふふっと万葉が笑う。
彼が荷物を受け取って車のドアを開けてくれるから、にこっと笑みを向けてから、するりと車に乗り込む。
スムーズに上品にできたかな、とどきどきしていると彼がドアを閉め、後部座席に荷物を置いてから運転席に乗り込む。
彼はサングラスをかけて車を出した。