こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 青い空の下、糸が張り巡らされ、ところどころに羊のような白い雲が浮かべられている。
 そこから雨のように糸が垂れ、先端につけられたクリスタルが日を浴びてきらきらと輝いている。

「きれい……!」
 この美術館はクリスタルを利用した演出が多いが、これは初めて見る。

「糸もきらきらしてる」
「オーロラリフレクター糸を使っている。反射材に使われる糸だ」
 万葉が説明する。

「縁は糸に例えられることがよくあるが、それをイメージして作ってもらった。一緒に見られて嬉しいよ。君との縁の糸が切れなくてよかった」
「私もそう思うわ」
 彩羅の言葉に、万葉は嬉しそうに目を細める。

「だが、切れたとしても俺は必ずつなぎ直しに行った。必ず、なんどでも結び直す」
 熱のこもったまなざしを向けられ、彩羅の鼓動が早まる。

「これを君に」
 彼はポケットから小さなジュエリーケースを取り出した。
 差し出されたそれを受け取って開けると、中にはレースのような銀色の指輪があった。

「かわいい」
「俺がデザインしたレースをもとに作った指輪なんだ」
「すごい」
 以前、レースがジェリーだと言った、あの言葉を彼は実行したのだ。

「俺は君が好きだ。出会う前から、ずっと」
 不意打ちのような告白に、彩羅は驚いて彼を見る。
 まっすぐ見返した彼は頷く。

「サイトで言葉を交わすたび、君にひかれた。どれほど君との赤い糸がつながっていることを願ったことか」
 彩羅がなにも言えずにいると、彼は続ける。
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