こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「会えるとなったとき、この糸を絶対に手放すまいと心に決めた。運命を手繰り寄せてみせる、と」
彩羅の脳裏によみがえるのは、仕事を抜け出してカフェに来ていた彼。よく来るのは、あのカフェが彼の肝いりだからだと思い込んでいた。
青空を背に、万葉の黒髪が風に揺れ、羊もまた揺れた。クリスタルの反射できらきらと光のかけらが地上に降り注ぐ。
「私も……」
彩羅はあふれる感情を抑えるように深呼吸した。
初めて会ったときは雲の上の人だと思ったのに。今こうして、ふたりで向き合っている。
「私も今日、気持ちを伝えるつもりでいました」
バッグから紙袋を取り出して差し出す。彼は受け取って中身を取り出し、目をみはる。
「青い羊だ」
「バッグの羊とおそろいなんです」
彩羅の顔はどんどん赤くなっていく。
手足が緊張で震え、胃が痛い。
だけど勇気を出して、彩羅は万葉を見た。
「私も、糸条さんが好きです」
彼の目が驚きに見開かれる。
直後、彩羅は抱きしめられた。
「糸条さん!?」
「すまない、つい、嬉しくて」
勢いよく体を離した彼の頬は赤く染まっている。やってしまった、と言わんばかりに額に手を当てている姿はとうてい社内で恐れられている専務とは思えない。
あのときと変わらない、と彩羅は思わず笑う。
初めて会ったあのとき、恥ずかしそうにしていた彼。
見た目は怖いけれど、本当はこんなにかわいらしい。
ふふっと笑って見上げた空には、羊のような雲がゆうゆうと浮かんでいた。
終
彩羅の脳裏によみがえるのは、仕事を抜け出してカフェに来ていた彼。よく来るのは、あのカフェが彼の肝いりだからだと思い込んでいた。
青空を背に、万葉の黒髪が風に揺れ、羊もまた揺れた。クリスタルの反射できらきらと光のかけらが地上に降り注ぐ。
「私も……」
彩羅はあふれる感情を抑えるように深呼吸した。
初めて会ったときは雲の上の人だと思ったのに。今こうして、ふたりで向き合っている。
「私も今日、気持ちを伝えるつもりでいました」
バッグから紙袋を取り出して差し出す。彼は受け取って中身を取り出し、目をみはる。
「青い羊だ」
「バッグの羊とおそろいなんです」
彩羅の顔はどんどん赤くなっていく。
手足が緊張で震え、胃が痛い。
だけど勇気を出して、彩羅は万葉を見た。
「私も、糸条さんが好きです」
彼の目が驚きに見開かれる。
直後、彩羅は抱きしめられた。
「糸条さん!?」
「すまない、つい、嬉しくて」
勢いよく体を離した彼の頬は赤く染まっている。やってしまった、と言わんばかりに額に手を当てている姿はとうてい社内で恐れられている専務とは思えない。
あのときと変わらない、と彩羅は思わず笑う。
初めて会ったあのとき、恥ずかしそうにしていた彼。
見た目は怖いけれど、本当はこんなにかわいらしい。
ふふっと笑って見上げた空には、羊のような雲がゆうゆうと浮かんでいた。
終


