こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「りょ、拓ちゃん」
「だからそれ」

「今のってフリっしょ」
「違うから」
 拓斗はまた苦笑する。

「しゃーない、おけり(OK了解)。店長は私を採用してくれてマジ恩人だし」
「恩人?」
 彩羅が聞き返す。
「そ。どこも面接で落ちたの。金髪ダメ、ネイルダメって。テンサゲのときにここで採用されてさ。このカフェは新設で、手芸ショップがサゲだからこれから一緒にアゲてこうって。ネイルは面接のときにやったばっかだから、落とすまで猶予期間をくれたん」
 ネイルのことも拓斗はちゃんと注意していたようだ。

「手芸ショップがサゲ?」
 こちらの意味がわからず、彩羅は首をひねる。
「元の会社が、なんだっけ? しじょーぼー?」
「糸条紡績のことかな」

「そうそう。成績悪いとかで親近感ありまくり」
 糸条紡績の業績は上り調子だが、傘下の手芸ショップは売り上げが下がる一方だ。サゲは業績悪化のことを言っているようだ。

「百均で手芸用品をそろえる人が増えたからかな」
 自分も編み物を始めるときは百均のお世話になった。毛糸は種類が豊富で、失敗しても惜しくない金額だから挑戦しやすかった。
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