こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「お仕事大変そうですね」
「でもやりがいはあります」
「趣味を仕事に活かしてたりするんですか?」
コーヒーを飲みかけていた彼の手がピタッと止まった。それからこくりと飲んで、カップを静かにソーサーに戻す。
「趣味とはまったく別なんですよ」
「周りの人には趣味は言わないんですか?」
「言えるわけがない」
彼は端正な顔をゆがめた。それすらも絵になる美しさだ。
「どうしてですか?」
「ばれたら俺は終わる」
頭を抱える彼に、大げさな、と彩羅は彼を見る。
「ただでさえ若いからほかの重役たちにはなめられる。怖いイメージを作ってなんとか取り繕っているが、編み物がバレたらどうなるか……」
重役って言っちゃってるけど大丈夫かな。
気になったが、周りに人はいないのだし、聞き流すことにした。
「大変ですね。苦労が多そうです」
「だけど編み物をしているときだけはなにもかも忘れて集中できる」
「わかります。気を抜くと網目の数がわからなくなるから、ほかのことなんて考えてられませんよね」
網目を数え間違えたときの絶望ははかりしれない。いつからなのか、どこで間違えたのか、必死で確認したことが何度もある。
「最初はしょっちゅう間違えて、なんどほどいたことか」
「羊さんにもそんな時代があったんですね」
くすくす笑うと、彼も目尻を下げた。そのまなざしがどことなく悲しげで、彩羅は首を軽くかしげる。
「でもやりがいはあります」
「趣味を仕事に活かしてたりするんですか?」
コーヒーを飲みかけていた彼の手がピタッと止まった。それからこくりと飲んで、カップを静かにソーサーに戻す。
「趣味とはまったく別なんですよ」
「周りの人には趣味は言わないんですか?」
「言えるわけがない」
彼は端正な顔をゆがめた。それすらも絵になる美しさだ。
「どうしてですか?」
「ばれたら俺は終わる」
頭を抱える彼に、大げさな、と彩羅は彼を見る。
「ただでさえ若いからほかの重役たちにはなめられる。怖いイメージを作ってなんとか取り繕っているが、編み物がバレたらどうなるか……」
重役って言っちゃってるけど大丈夫かな。
気になったが、周りに人はいないのだし、聞き流すことにした。
「大変ですね。苦労が多そうです」
「だけど編み物をしているときだけはなにもかも忘れて集中できる」
「わかります。気を抜くと網目の数がわからなくなるから、ほかのことなんて考えてられませんよね」
網目を数え間違えたときの絶望ははかりしれない。いつからなのか、どこで間違えたのか、必死で確認したことが何度もある。
「最初はしょっちゅう間違えて、なんどほどいたことか」
「羊さんにもそんな時代があったんですね」
くすくす笑うと、彼も目尻を下げた。そのまなざしがどことなく悲しげで、彩羅は首を軽くかしげる。