こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
4
水曜日の定休日をはさんで木曜日。
出勤直後、マリリンは彩羅に言う。
「前はフロアがあーしだけで大変だったんよ。最初は人妻がいたんだけど、店長にマジ恋して振られてソクサリだったんよね」
ソクサリは「即、去った」の略だ。
「マジで神」
マリリンが両手を組んで彩羅を拝む。
「大げさ」
彩羅はくすっと笑う。
彼女は感情を率直に伝えてくれるからかわいい。
そうして万葉を思い出す。
強面で冷静な彼の、思わず感情があふれる姿はかわいい。特に恥ずかしがる姿がかわいすぎる。
自動ドアが開き、客が入ってきた。
「いらっしゃいませー」
彩羅はすかさず声をかけ、席に案内する。
初来店の客には場所代が必要なこと、勉強や読書、仕事に使ってもOKだが、縫い物は許可していないことを説明する。針がソファに刺さって気づかれないままだと危険だ。
「拓ちゃんってかっこいいよね。料理はおいしいし、愛想もいいし」
「そうだね」
夕方、手すきの時間にマリリンに言われ、彩羅は頷く。
「彩羅っち独身なら狙えば。拓ちゃんも独身だし、今は恋人いないって」
「えっ」