こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 拓斗が淹れたコーヒーを持っていくと、万葉は表情を和らげた。
「ありがとう」
「いえ」
 思わずどきっとしてしまう。
 万葉に笑顔を向けられると、どうしても特別感がある。

「本職は大丈夫なのか?」
 カウンター越しに拓斗が声をかける。
「休憩時間になにしようが俺の自由だろ」
「とかいって、彩羅ちゃんに会いに来てたりして」
 拓斗のツッコミに、万葉はせき込んだ。

「大丈夫ですか!?」
 彩羅は新しいお手拭きを出してきて彼に渡す。
「大丈夫」
「あたりだったか」
 彩羅はどきっとして思わず彼を見る。

「つまり万葉っちは彩羅っちのことがす――もがっ」
 言いかけたマリリンの口を拓斗が手でふさぐ。

「ちょっと静かにしてようか」
 拓斗の言葉に、納得がいかない様子でマリリンが彼を見る。

「いや、単にだな……紹介した責任があるから」
 眉間にしわをよせ、万葉が言う。

 彩羅は恥ずかしくなった。一瞬、万葉が自分を心配してくれているのかなんて思ってしまった。
 拓斗とマリリンはにまにまと彩羅と万葉を見ている。
 自分の誤解を笑われているようで彩羅は顔を赤くほてらせた。
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