こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~



 翌日はマリリンが休みで、拓斗とふたりでランチを乗り越える。
 休憩時間になり、彩羅はバックルームに向かった。
 が。
「ハンディ持ってきちゃった」

 カフェに戻った彩羅は、月菜がいるのを見て硬直した。
 月菜は自分には気づかず、拓斗に話しかける。

「すみません。相談したいことがあって……お時間いいですか?」
 困った顔の月菜に、拓斗は笑顔を向ける。

「なに?」
「萌木さんのことで……」
 月菜は悲し気に目を伏せる。

 彩羅はそれ以上進めず、バックルームに引き返すこともできずにふたりを見つめる。
 怖い。なにを言う気なの。
 変なことを吹き込まれたくない。かといって止めに入ることもできない。

「今、あの人はいませんよね。これから話すことは内緒にしてくれますか? 知られると私、どんな目に遭うか……」
 おびえた声に、弱弱しい上目遣い。男性の庇護欲を誘いそうだ。

「そんな状態なんだ? 話してみて」
 拓斗の声はいつもと変わらず優しい。
「萌木さんの前職、知ってます?」
 彩羅はびくっとした。
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