こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「萌木さん。君が淹れてみて」
「え……はい」
 急に与えられた使命に、彩羅はピンと背を伸ばす。

 仕事中だ。ちゃんとしなくちゃ。
 お湯を沸かし、四対六メソッドで甘さと濃さのバランスに気をつけて淹れる。
 それをトレイに載せて運び、緊張しながら万葉に出す。

「お待たせしました」
「ありがとう」

 彩羅はそそくさとカウンターに戻り、そっと万葉の様子を窺う。
 彼は静かにカップを持ち、口に運び、こくん、と飲む。
 言葉もなくカップをソーサーに戻し、考える様子を見せた。

「そんなところで見てないで、感想を聞けばいいのに」
 拓斗がくくっと笑う。

「勇気がなくて……」
「じゃあ俺が聞いてあげる」
「え、待っ」

 止める間もなく拓斗はすたすたと万葉のところへ歩いていく。
「どう、今日のコーヒーは」

「彩羅さんが淹れただろ」
「正解」
 拓斗が振り返るから、彩羅はおずおずと進み出る。

「いかがでしたか?」
 どきどきしながら尋ねると。
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