こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「手編み、大変なんだろ?」
「これは簡単だったよ」
 得意げに言う月菜に、彩羅は呆然とした。

 なにが起きているの?
 頭の中の一部は冷静に事実を告げているのにそれを認められない。

「ねえ、早く彩羅と別れてよ」
「もうすぐだよ」
「嬉しい!」
 月菜が彼に抱きつくに至り、彩羅は思わず一歩を踏み出していた。
 かつん、と足音が響いて、ふたりが振り返る。

「お前……!」
「彩羅……!」
「どういうこと?」
 自然と出た言葉に、慶太は月菜をかばうように前に出た。

「お前、友達のふりして月菜をいじめてたんだろ!」
「え?」
「相談されたんだ。自分が編んだものを全部とりあげられるって」
 言われたことに、彩羅は愕然とした。

「月菜……?」
「ごめんなさい、許して! どうしても苦しくって、もう無理! もうあなたの命令通りに編むなんてできない」
 彩羅はただただ混乱した。
 月菜に命令したことはないし、彼が持っているのは自分が編んだものだし、なによりいじめたことなんてない。
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