こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
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なによ。
月菜は不満で口をとがらせる。
カウンターの中の彩羅と万葉と拓斗。なにを話しているのか、ずいぶんと仲がよさそうだ。
彩羅のくせに。編み物しか能がないくせに。
月菜はぎりっとにらみつける。
だけど、御曹司が来る店だったのは運がいい。
このまま彼を落として、慶太とは別れて玉の輿に乗りたいところだ。
「私が本気を出せばすぐなんだから」
月菜は、にいっと唇の端を吊り上げた。
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閉店とともに店を出た万葉は、暗闇から追いかけてくる足音に振り向いた。
照明に照らされたのはさきほど不躾にも勝手に同席してきた月菜だ。待ち伏せしていたらしい。
学生時代にも待ち伏せによく遭ったが、たいていろくでもない目に遭った。誘われて断ると、せっかく待ってたのに、と文句をくらう。勝手に待ってたくせにと反論すると、自分が悪者になるのだ。
こいつのせいでろくに彩羅と話ができなかった。
幼稚ないら立ちを大人になっても感じるとは、と発見しながらも、やはりこの女には不快を禁じ得ない。
専務であることを店頭で口にしていたから、きっと彩羅に知られた。あの場では専務の皮をかぶって冷静にやりすごしたが、彩羅が「騙された」と思ったとしたら。
そう思うとなおさら腹が収まらない。
「専務~」
鼻にかかった甘え声が不快で、自然と眉間にしわが寄った。こういう女はたいてい自分を利用するために恋の罠をしかけてくる。